見落としがちな転職のコツ

2020年2月12日

現職の企業から魅力的な条件で引き留められたらどうする?

引き留めは「ある」と思っておくべし

今回は、転職活動の最終局面、「退職交渉」がテーマです。退職交渉は、応募先企業から正式にオファーを受けて入社を合意した後、現職企業へ退職の旨を告げることから始まります。

昨今はどの企業も人材不足のため、少なからず現職から引き留めに遭う可能性があります。ましてや要職にあるハイクラス層の方の場合、現職企業から、「必ず引き留められる」「昇給や昇格などの魅力的なカウンターオファーを提示される」くらいに考えておくべきです。

引き留められれば、悪い気はしないものです。現職企業は、給与アップや昇格、社内での魅力的なキャリアパスなどさまざまな好条件を提示してあなたを引き留めます。ここでカウンターオファーに応じて転職を取りやめるのも1つの選択ではあります。

しかし、ここで「ぐらつく」ことによるデメリットも認識しておくべきです。一つ目は、現職企業から「この人はいずれ辞めるかもしれない人だ」と見なされる可能性があるということ。短期的には好条件を得られても、長い目でみると重要なポジションから外されるかもしれません。二つ目は、現職に残るか転職するかを迷う期間が長くなるほど、転職先企業からも「決断力に問題があるのでは?」「この人を本当に採用して大丈夫か?」と疑われる可能性があります。

退職交渉と入社交渉は同時並行

退職交渉は、転職先企業への入社交渉と時期が重なります。一般的に、現職の企業に退職の意思を伝えてから実際に退職するまでの期間は1カ月から長くても2カ月程度です。ただし、それはスムーズに進んだ場合の話。転職先企業も、採用する人がハイクラスであることを考慮して通常より時間がかかることは織り込んでいるはずですが、それでも基本的にはできるだけ早く入社してもらいたいと考えています。

そのため、退職交渉においては、退職のタイミングを現職企業と出来るだけ早く合意することがポイントです。引き継ぎ計画を作成し、自分が辞めることによって事業が停滞するリスクを最小限にすることを現職企業に示すことが有効です。採用の権限を持つ人であれば、自分の後任を自分自身で探したり、自分の担当ヘッドハンターに探させたりして、採用してから退職するケースもあります。

実際、退職意向を告げてから退職までに9カ月かかった人もいます。ただ、そのようなケースはまれでしょう。後任の体制や引き継ぎ計画を現職企業に納得させ、またそれだけの期間を要することを転職先企業に伝えても、「待とう」と思わせるだけの人であったということです。

いずれにしても、オファーが出た後は、悩んだり迷ったりする時間はあまりありません。転職活動の初期段階から、カウンターオファーを受ける可能性や、引き継ぎや退職の段取りのことを考えておくことが重要です。

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