見落としがちな転職のコツ

2020年2月18日

専門職が「“専門外”の人に言葉が伝わらない」と思った時の乗り越え方

iXでは、転職サービスに続き、対話によりキャリアを整理できるサービス「クラウドキャリアコーチ」の提供を開始しました。今回は、本サービスの提携先である、業界大手で、これまで延べ5,000人の支援実績を持つエール株式会社 代表取締役 櫻井 将さんに、専門職とコミュニケーション力について寄稿いただきます。

社内の“専門外”の人と話していて「なぜか言葉が伝わらない」と感じたら

こんにちは。櫻井です。1on1とは?成果を圧倒的に上げる部下とのコミュニケーション術を解説(前編)の中で、「上司と部下」の関係における1対1のコミュニケーションについて解説しました。これからの時代の上司に求められるコミュニケーションは、「正答」を部下に伝える「面談」的コミュニケーションに加えて、「相談」「雑談」「対話」的コミュニケーションが必要であるというお話でした。

このようなコミュニケーションは、実は専門性を極めるべき専門職の方にとってもとても重要です。

法務、経理、人事、広報などの専門職、あるいはIT系・モノづくり系エンジニアの方は、“専門外”の上司や同僚と話す機会があると思います。例えば、新規事業を開発する部門から、サービスフローや規約などに法律の観点から意見を求められたり、技術的な実現可能性をたずねられたり、という場面です。

そんな時、自分は専門家の立場から「正しいフィードバック」や「的確なアドバイス」をしているはずなのに、なぜかギスギスした空気が生じる、言葉が上手く伝わらなくてギクシャクする、と思うことはないでしょうか?このような事態は、相手の立場や事情への「共感」を示すコミュニケーションが不足していることが原因で起こりがちです。

「共感」を示すことでコミュニケーションがスムーズに

専門職として伝えるべきことを伝えていれば、実務上は大きな問題にはならないかもしれません。でも、ギクシャクしたコミュニケーションは、相手にとっても専門職の方自身にとってもストレスが大きく、「どうしてこうなるのか」「自分は間違っていないはずなのに」と、思考や感情が乱されて他の仕事にも良くない影響が及ぶかもしれません。場合によっては、評価に傷がついてしまうことも。

以前、私は、ある弁護士事務所からの依頼で、弁護士の方々に対する営業研修の講師をさせていただいたことがあります。弁護士に相談する方の多くは、「自分が抱えている問題をどうにか解決してほしい」と思って相談するわけですが、弁護士からの「で、論点は何ですか?」というストレートな質問は、仮にそれが問題解決への最短距離だとしても、相談者には不満が残ることが少なくないようです。それは、相談者の多くが、問題に直面して悩んでいる自分の状況をまずは分かって欲しいと思っているからです。

私は研修の中で、いきなり問題の核心に迫ろうとするのでなく、まずは相談に至った背景を聞いて、「そんなに大変なんですね」「なるほど、とても難しい状況なんですね」といった「共感」を示すコミュニケーションをとることを勧めました。そうすることによって、相談者は「この人は分かってくれる人だ」と感じ、心の壁が取り払われるからです。そうしなかった場合と比べて、その後のコミュニケーションは段違いにスムーズになり、結果、最速での問題解決ができるわけです。

「会社をよくしたい」思いは同じ

専門職の方と社内の“専門外”の人とのコミュニケーションでも同じことが言えます。例えば社内の営業メンバーから相談を受けて、立場上「このフローは法的な観点で認められません」「技術的に実現できません」「コストが大きすぎて無理です」などと答えざるを得ない場合があると思います。そんな時にも、「ああ、○○さんはこういうことを実現したいわけですね」といった「共感」する姿勢を最初に現した上で、専門家としての意見をきちんと伝えてみましょう。すると、最短での問題解決を求めて、正論をいきいなり伝えるよりも、雰囲気も良い上に、結果的に最短での問題解決ができるはずです。

本来はどちらも「会社を良くしたい」「会社をリスクにさらしたくない」という目的は同じはずなのに、ちょっとしたコミュニケーション不足で、関係がギクシャクしたり、専門職に相談することを敬遠されたりすることがあっては、双方にとって良いことはありません。「社内の人とのやりとりがなぜかうまくいかない…」と感じる専門職の方は、ぜひ一度「共感」を示すコミュニケーションをお試しになってみてください。

「相談」「雑談」「対話」的コミュニケーションは、専門職がマネジメントの領域にキャリアを移行していく上でも必要になってきます。専門外の人や、部下とのコミュニケーションを改善したいとお考えの方は、コミュニケーションの専門家であるビジネスコーチのコーチングを受けてみることをお勧めします。

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