見落としがちな転職のコツ

2020年3月3日

家族は自分の転職を認めてくれるはず。そう思っていませんか?

転職による「変化」に不安を抱く家族

転職活動が進み、とうとう応募先企業からオファーが出た。喜ばしい気持ちとともに家族に報告したら、転職に反対されてしまった——そのようなケースは、ハイクラスの転職に限らず数え切れないほどあります。

ヘッドハンターは経験上そのリスクをよく知っているので、転職希望者の方との最初の面談時には必ず「転職のことをご家族に話していますか?」と確認します。すると、ほとんどの方が「話していませんが、自分はやりたいようにやらせてもらっているので大丈夫です」と言います。でも、実際はそうでないことが多いから、後々問題になるわけです。

「大丈夫です」と言う方も、別に嘘をついているわけではなく、本気で「大丈夫」と考えているのでしょう。「自分のキャリアは自分で決める!」という気持ちなのかもしれません。あるいは、転職を宣言して活動を始めた結果いい会社に決まらなかったら恥ずかしい、だから話すのは「転職先が決まってから」とお考えの方も中にはいらっしゃるでしょう。

家族が転職に反対する理由はさまざまですが、その多くは、年収・福利厚生、勤務地・転勤の有無、労働時間・休日などが「変化すること」です。転職してもこれらが全く変わらないということはありませんし、これらの「変化」は生活に現実的な影響を及ぼしますから、不安になるのも当然です。

例えば、年収が下がれば住宅購入計画やローン返済などにも影響します。家賃補助や家族手当などの福利厚生の有無は、家計を支える大きな要素です。転職後の勤務地によっては、配偶者が退職・転職しなければならなくなるかもしれません。子どもの学校の心配もあるでしょう。労働時間が今より多くなるあなたの健康を心配して転職に反対することもあります。

転職活動を始める「前」に必ず家族に相談する

転職先からオファーが出てからご家族の反対にあい、やむなく辞退して転職自体を取りやめるケースは後を絶ちません。そうならないためにも、転職活動を始める「前」に話して、条件面も含めて合意を得ておくことが重要です。

そうしないと、「どうして事前に一言も相談してくれなかったのか」というコミュニケーションへの疑念から、転職そのものへの反対が強くなってしまいます。事前に相談し、転職すること自体に合意を得ておけば、最悪でも転職先となる企業や条件面への難色に留まりますから、説得や企業との交渉などで解決可能なレベルに収まるはずです。

転職活動が進んだフェーズでご家族から反対が起きたとき、ヘッドハンターにできることは限られます。企業とのやりとりにおいてはあなたのエージェントですが、あなたのご家族に対して直接何かできるわけではないからです。転職先企業に関する情報の不足や誤解があれば、説得材料として正確な情報をまとめて資料化するなど、問題解決の協力は惜しみませんが、ご家族に話すのはあくまでもあなた自身です。

転職は自分一人のことではありません。始める前に相談し、家族、とりわけ配偶者の協力を得ながら進めるのが、望ましい転職活動のあり方だと言えます。

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