見落としがちな転職のコツ

2020年6月16日

「ゼネラリストは市場価値が低い」という勘違い

さまざまな職種を経験してきたが、これといえる強みがない

ヘッドハンターがスカウトを送るような求人は、専門性が高く「その分野で誰にも負けない強みを持っているスペシャリスト」が求められていて、実際そういう人がハンティングされるはず──。ハイクラスの転職をご支援していると、転職希望者の方からそのような話を聞くことがあります。

でも、それは間違った先入観、思い込みに過ぎません。実際には広範囲にわたる技術・経験を持つゼネラリストも多くハンティングされています。ではどうしてそのように考えてしまうのでしょうか。

日本の企業では、新卒採用時に特定の職種でなく「総合職」として採用し、それぞれの適性や希望を調整しながら複数の部門・職種をローテーションさせて育成する傾向があります。

そういう環境でキャリアを積んでこられた方が、転職に際してあらためて「あなたの強みは何か」と問われた時に、「○○一筋」でやってきたわけではないことにある種の引け目を感じてしまうのかもしれません。そして、ヘッドハンターからスカウトされると、「ゼネラリストの自分が挑戦してもよいものだろうか?」と不安になってしまう、ということなのでしょう。

しかし実際のところ、ゼネラリストは市場価値が低いのでしょうか?

ゼネラリストこそが求められるケースもある

おおまかな傾向として、スペシャリストはどちらかというと組織の人数がある程度確保され、分業体制が確立している職場で求められます。一方、ベンチャー企業や、企業規模にかかわらず新規事業開発に関わるポジションなどでは、限られた人員でさまざまなタスクをこなさないといけないため、多様な経験を持つゼネラリストが求められる傾向があります。

ただ、具体的にどのような人が求められるかについては、個別の企業・事業のフェーズや状況、既存の社員の人員構成などにもよりますので、一概には言えません。本来、「ゼネラリスト」も「スペシャリスト」もキャリアの類型(タイプ)の話であって、どちらが優れている・劣っているという話ではありません。また、このタイプの違いによる二元論で求人ニーズのすべてが説明できるわけでもないのです。

「自分はゼネラリストだ」とお考えのあなたにスカウトが届いたのだとしたら、ヘッドハンターはその辺りをすべて見越しているはずです。つまり、ゼネラリストに適した求人を抱えていて、あなたがそれにマッチすると考えたからこそスカウトしてきた、そう考えて問題ありません。ですから、自信を持って応募してみてください。

そう聞いても、どうしても不安を拭えない方は、スカウトへの返信で、ヘッドハンターに「私がその求人に合うでしょうか?」と直接たずねてみるとよいでしょう。恐らくヘッドハンターは、ゼネラリストのあなただからこそスカウトした理由を説明してくれるはずです。

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