見落としがちな転職のコツ

2020年7月21日

スカウトの求人が「できるけど、やりたくない」仕事だったら

広報経験10年以上のAさんのケース

先月は、「いろいろな仕事を経験してきたが、これといえる強みがない」というゼネラリストの悩みについてお話ししました。

では逆に、専門性の高い職種、例えば経理・財務、人事、広報、法務、マーケティングなどでキャリアを積んできた人は転職に際して不安はないのでしょうか?

日系大手メーカーに勤めるAさんは、大学院を卒業後にPR会社に就職し、広報としての専門性を磨いたあと、メーカーに転職、そこでも広報の仕事をしてきました。トータルで10年以上の経験になります。

ただ、現在在籍する広報部門は他社と比べて規模が大きく分業が徹底していたため、Aさんの担当は広報の一部であるメディアリレーション業務が中心でした。経験の幅を広げたい、広報以外の仕事もしてみたいと思っていたAさんは、いつからか「このままこの環境で働いていてよいのか…」と不安に思うようになりました。

転職サイトにも登録してみました。でも届くスカウトメールは広報の求人ばかり。とりわけAさんが担当してきたメディアリレーションの経験・スキル、それに伴って培った人脈は、現在さまざまな業界でニーズがあるらしく、思いのほか多くの引き合いがありました。

「できるけど、やりたくない」仕事にスカウトされたら…

ただ、Aさん自身は今と違う仕事に挑戦してみたいと考えていたため、声がかかった仕事は「できるけど、やりたくない」ものでした。そのような時は、スカウトを送ってきたヘッドハンターに返信をして、率直に思いを伝えるのも一手です。ヘッドハンターはスカウトを送ってきた求人の「周辺領域」の案件を持っている可能性が高いからです。

Aさんも、ヘッドハンターに相談した結果、「最初は経験を活かしてメディアコミュニケーションの仕事をしてもらいながら、ゆくゆくは広報全般とマーケティングまで含めたコミュニケーション部門の責任者を任せたい」という案件を紹介され、転職しました。

転職ではほとんどの場合、高い専門性が求められます。ハイクラス転職なら尚更その傾向は強くなります。ですから、ヘッドハンターがAさんの特定領域の経験に期待してスカウトするのは無理からぬこと。自分の希望する仕事とは違っていてもそこで諦めず、スカウトに返信してヘッドハンターに相談してみることをお勧めします。

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