転職は何歳までにする?年代別で変わる転職活動での戦い方

キャリアを重ね、年齢が高くなっていくにつれて「転職は何歳までできるのだろう?」と漠然とした不安や疑問を感じる人は少なくありません。特に1社での経験年数が長くなるほど、勤務先の看板が変わっても自分の能力は果たして通用するのか、不安を覚えてしまうものです。

この記事では、転職と年齢の関係とあわせて、転職活動に向けた年代別の対策について解説します。若手からミドル層まで、幅広い年齢層の転職を支援してきたキャリアアドバイザーが、年代別の転職活動のポイントを紹介しますので、転職を検討している方はぜひ参考にしてください。

転職成功に年齢制限はない

結論からお伝えすると、転職成功は何歳になっても目指すことが可能です。求人内容や採用選考において年齢による制限を設けることは法律で禁止されていることに加え、転職市場の変化に伴い、企業が求める人物像の傾向も変わってきており、経験やスキル、仕事への姿勢により重きを置く企業が増えてきています。

かつて、転職を希望する方々のあいだでは、「35歳転職限界説」といった風評もありましたが、転職の年齢制限はありません。

一方で、選考時に年齢が一切考慮されなくなったということではない点に注意しましょう。年齢を根拠に採否を判断することが法で禁止されたのであり、年齢相応の経験や視座の高さは依然として求められています。40代以上で転職を成功させた方々は、こうした要件を満たしていたと捉えるべきでしょう。

転職成功者の平均年齢は32.2歳

2022年におけるdodaエージェントサービス利用者のうち、転職に成功したビジネスパーソンの平均年齢は32.2歳でした。年代別に見ると、下記のとおり全年代にわたって転職成功者が存在することが分かります。

■転職成功者の年代別割合(2022年度)

参照:転職成功者の平均年齢調査【最新版】|doda

40歳以上の転職成功者が14%近くに上ることから、若年層だけが転職に成功しているとは限らないことが見て取れます。年代を問わず、転職を成功させることはできるのです。

ボトムアップ型の企業経営の推進も背景に

従来のトップダウン型の経営スタイルとは対照的に、近年は現場の意見を尊重し、経営層と現場が協力して一体感を持って事業を推進し、現場の声やアイデアを積極的に採用するボトムアップ型の企業・組織が増えています。

そのため、自身のスキルや経験を活かして主体的に行動し、事業を変革して組織を大きくしていくという使命感を持って行動できる人材が求められています。中途採用者には新しいアイデアや発想で、これまでにはなかったイノベーションを起こすことが期待されているのです。

そのため、選考の際には、これまで重ねた経験やスキル、マインドが重要視されます。転職市場で、主体的に考えて積極的に行動することのできる能力や、組織力を強化することのできるコミュニケーション能力が求められるのは、こうしたボトムアップ型の企業が増えていることも背景にあります。

専門職としてのキャリアを歩む選択肢が増加

近年、企業内でのキャリア構築の方向性は多様になりつつあります。マネジメント・管理職として組織をリードする以外にも、高い技術と深い知見を有する専門職としてのキャリアを評価する人事制度を据える企業も増えてきました。以前は「会社内で管理職に昇進するか否か」しかなかったキャリアアップの方向性に他の選択肢ができてきており、よりミドル層の経験や知見を発揮できるポジションが増えたことも、採用が活発化している背景の一つです。

定年の引き上げにより現役時代が長くなっている

2021年4月1日に改正高年齢者雇用安定法が施行され、従前から企業に義務付けられていた65歳までの雇用確保に加え、65歳から70歳までの就業機会を確保する措置を講じるよう、努力義務が新設されました。

かつては60歳が定年とされていたことを踏まえると、定年が引き上げられ、現役時代が長くなっていると捉えられます。見方を変えると、比較的年齢の高い人材を採用したとしても、企業に貢献できる年数が従来よりも長くなっているということ。定年の引き上げに伴い、転職可能な年齢が高くなりつつあるとも解釈できます。

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年代別で異なる、企業からの「経験」の見られ方

自分のこれまでの経験がその企業や組織でどう捉えられるのか、評価されるのかは、選考時点の年齢・年代によっても傾向があります。なぜなら、企業側が重視するポイントが年代によって異なるからです。ここでは、doda Xで実際に転職サポートをしているキャリアアドバイザーにハイクラス転職における各年代の転職のポイントを聞きました。主なポイントは以下のとおりです。

業界・職種ともに未経験の転職は20代が有利

20代前半から半ばまでの年代は、社会人としての経験年数が短く、現職で培った経験・スキルも限定的になりやすいため、ポテンシャルを重視した選考が行われる可能性があります。業界・職種を問わず通用するポータブルスキルや人柄などの定性的な側面を加味した上で、採否を判断するケースも少なくありません。

ただし、一定の年収アップを望む場合や、大きな裁量を求めるハイクラス転職では、ポテンシャルだけでの採用は難しいといえます。経験やスキルも重要視されることを知っておきましょう。

一方、20代後半から30代前半になると、前職で得た経験・スキルがその人にとってキャリアの土台となる度合いが増してきます。そのため、転職を機に職種を変更する難度が20代中盤までと比べて高くなりがちです。業界・職種ともに未経験の分野に挑戦したい場合には、20代中盤までにキャリアチェンジを検討しておくのが得策といえます。

30代は業界への深い知見を問われることが多い

一般的に30代半ば以降は、組織や事業の中核を担う人材と見なされるようになります。そのため、業界への知見の深さと職務経歴を掛け合わせることで、人材価値を評価されるケースが増えていくでしょう。

転職先が完全に同業界ではない場合も、ハイクラス転職をはじめ、希望に合った転職がかなう可能性があります。異業種であってもビジネスモデルに前職との類似性が認められたり、顧客層に共通点が見られたりするようなら、自社との親和性が高い人材と判断されるケースもあるからです。

特に近年は、一つの業界に特化して事業を育てるのではなく、多様な事業を展開していくことが多くの企業に求められています。他業界出身であることが、必ずしも転職先で知見を活かせない理由にはなりません。業界が異なることを根拠に、転職をあきらめる必要はないといえます。

40代からはコアキャリアが求められる

40代以降になると、転職市場ではコアキャリアが求められるケースが多いのが特徴です。コアキャリアとは、その職種に求められる一般的な役割にとどまらず、豊富な経験を積んでいる領域や得意分野のこと。

一例として、同じ企画職であっても「新規のサービスを0→1で企画し、チームをリードすること」が得意な人と、「すでに出来上がっていてユーザーが一定数いる既存のサービスをグロースさせること」に長けている人とでは、職種自体は共通していてもコアキャリアは大きく異なります。

自身のコアキャリアと企業が求める能力・資質がマッチすれば、転職に成功する可能性は十分にあります。求人をチェックする際には、その企業がどのような志向や経験を求めているのかといった視点で、人材ニーズを読み解いていくことが大切です。

40代半ばから50代は業界を超えた転職も

40代半ばから50代になると、これまでの経験次第では、業界を越境した転職が可能になる場合もあります。もちろん難易度はあがりますが、業界や職種といった区分を問わず、企業が求める核心部分の経験にマッチしていれば、上級管理職などへの登用を検討する可能性があるからです。

例えば成長著しいスタートアップ企業が、組織強化の狙いで事業部長経験などのあるマネジメント経験豊富な50代を採用し、要職に登用するといったパターンが想定されます。もちろん、相応の経験やスキル・実績は求められるものの、年齢が高くなるほど転職先の選択肢が狭まるとは限らないのです。

年代別で異なる、転職で求められる人物像やスキル

選考時には年齢だけでなく、応募者の人物像やスキルも採否に大きな影響を与えます。一方で、年代によって求められる人物像やスキルに一定の要件があるのも事実です。

ここでは、転職市場において各年代に求められる人物像やスキルのポイントを解説します。

20代に求められる人物像やスキル

20代の人材は社会人としての経験年数がほかの年代と比べて短いため、その業界や職種に必要な特有のスキルや経験以上に、勤務先が変わっても通用するポータブルスキルが重視される傾向があります。

例えば、新たな環境にいち早く適応し活躍できる柔軟性や、現状では不足している知識・スキル・経験をキャッチアップする成長意欲が求められるでしょう。

また、同年代のビジネスパーソンと比較した際、より高い視座で物事を捉えているかどうかも問われます。担当業務や任されているタスクの範囲内で仕事を捉えるのではなく、組織やチーム全体の中で果たすべき役割を認識しているか、上長や経営層の意図をくみ取ろうとしているかといった点も見られることを想定しておくことが大切です。

30代に求められる人物像やスキル

30代の人材は、現職においても中核メンバーとして活躍していることが想定されるため、20代の人材と比べて専門性や実務経験の豊富さが問われる比重が高くなります。

面接や書類ではこれまでに培ってきたスキルや知見をアピールするとともに、それらの能力を入社後にどう活かせるのかを伝えることが必要です。

また、30代はマネジメントの素養や適性が問われ始める年代ともいえます。役職の有無よりも、リーダーシップを発揮してチームをまとめたり、自身の提案が発端となって所属部署に良い影響を与えたりした経験があるかどうかのほうが重要です。

就業先の企業が変わったとしても、組織に貢献するスタンスは変わらない可能性が高いことから、選考時に高く評価される要素となり得ます。

40代以上に求められる人物像やスキル

40代以上の人材には、企業価値への貢献度合いが求められるようになります。組織全体を俯瞰し、事業貢献を意識して周囲の社員を牽引してきたか、前向きな姿勢で周囲を巻き込んできたかといった経験や姿勢・マインド面が問われます。

一般的に、40代以上の人材にマネジメント経験を求める企業が多いのは事実です。一方で、課長や次長・部長といった役職名や部下の人数などをアピールするのではなく、マネジメントに臨む際の考え方や方針を明確に伝える必要があります。

肩書や部下の人数、部署として上げた成果などは、自身の考え方や方針を勤務先が評価し、実際に結果を出してきたことを裏付けるエビデンスと捉えることが大切です。

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キャリアアドバイザーに聞く! 年齢を問わず転職を成功させる人の共通点とは?

ここまでに見てきたとおり、転職時の「年齢の壁」は実質的に消失しているものの、年齢相応のスキルや経験が求められる傾向があることに変わりはありません。

年齢を問わず転職を成功させる人には、どのような共通点があるのでしょうか。数多くの転職成功者を見てきたdoda Xのキャリアアドバイザーの視点から、転職を成功させる人の共通点を解説します。

自分の言葉で自分の強みとなる経験を語れる人

採用選考を通じて、企業側は数多くの応募者と接することになります。ほかの応募者と同じようなアピールポイントを羅列しても印象に残りにくいばかりか、「採用するメリット」を実感しにくいのは否めません。

自身の強みをアピールする際には、具体的なエピソードを添えて自分の言葉で語ることが重要です。事実を淡々と羅列するのでなく、なぜそのように考えたのかを明確に伝えることにより、仕事に対する一貫したこだわりや志向性をアピールできるかどうかが採否を分けるといっても過言ではありません。

複数の企業から内定を獲得する人の多くが、自身の強みとなる経験を自分の言葉で語っています。

自身で試行錯誤し、PDCAを回して業務に取り組んできた人

与えられた職務を受動的にこなすのではなく、自身で試行錯誤を繰り返し、PDCAを回してきた人は高く評価される傾向があります。自分の頭で物事を考え、創意工夫を凝らして仕事に取り組んできた人材は、所属する企業が変わったとしても同様のスタンスで業務に取り組める可能性が高いからです。

上司や会社の指示どおり動くことに終始してきたといった印象を、採用担当者に与えないよう注意したほうがよいでしょう。

同時に、自分の中での試行錯誤の軌跡を、適切に言語化して伝えられるかどうかも重要なポイントです。例えば、単に「PDCAを回しました」と話しただけでは、具体的にどのような思考や判断のプロセスをたどったのかが伝わりません。自分自身の思考や行動を客観視し、適切に言語化できれば、業務においても自分の頭で物事を判断できる可能性が高いと判断してもらえるでしょう。

自分を変革させていける人

現状に安住せず、自分を変革させていける人材は、転職市場で高く評価されます。業務が順調に進んでいるときも常に自ら動機付けをし、物事を多面的に捉えたり、新たな視点を獲得できたりする人材であれば、転職後も自発的に成長し続けていく可能性が高いからです。

特にハイクラス転職においては、現在の勤務先に長く勤め、組織内で一定以上の評価を得ている人材が少なくありません。現状の評価に満足しきってしまうことなく、自身の足りない点や伸ばしていくべき点を常に模索し、謙虚に受け入れて改善しようと努力する姿勢は、ハイクラス転職だからこそ求められることといえるでしょう。

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年齢による「転職の壁」がなくなりつつあるとはいえ、ビジネスパーソンにとって転職が大きな節目であることに変わりはありません。自身のキャリアを築いていく上で、転職する年齢やタイミングは決して無視できない要素といえます。転職する際の年齢に制限はないと理解していても、不安を払拭しきれない面は誰にでもあるでしょう。

こうした不安を少しでも払拭するには、現状の選択肢がどの程度あるのか、キャリアの可能性がどれだけあるのかを知っておくことが大切です。doda Xでは、ハイクラス転職を目指す人の希望に合わせた求人を豊富に取りそろえています。ヘッドハンターや企業からスカウトを受け取る経験を通じて、まずは自身の可能性を探ってみてはいかがでしょうか。履歴書や職務経歴書の作成のサポートなど、多様なサポートを受けることも可能です。各年代でのハイクラス転職成功の大きな力として、ぜひご活用ください。

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小菅 裕子(こすげ・ゆうこ)

dodaキャリアアドバイザー/国家資格キャリアコンサルタント

新卒で人材ベンチャー企業に入社し営業担当とキャリアアドバイザー両方の業務を経験。その後、株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)に転職し、2年間人事を経験したのち、キャリアアドバイザーに転向。若手の転職サポートを経験したのち、ハイキャリア部の配属となり、IT、クリエイティブ、マーケティングなどの領域を中心にサポート。エキスパート職として累計10年以上のキャリアアドバイザー経験を持つ。
 
<メッセージ>
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